再び、スタート!

 〇〇市を退職後、地元で1年間、講師をしながら目の当たりにした“荒れた中学校“の現場。私はそこで、しらけ切った生徒達を前にひるんでしまったり、秩序のない生徒集団や校内暴力に恐怖を抱いたり‥‥。そんな経験から、それまでの理想としていた教育観や教師像は、大きく変化していきました。

 

 給食当番が廊下を通る間に、好物の副食が奪い取られていく。教師の制止はきかない。騒然とした授業、教師の声が聞こえない。

周囲を威嚇し暴力を振るいまくる一群が集団を支配する。そんな日常の中では、教師を敵視する彼らに加え、周囲の生徒達も教師への不信感を募らせていきます。自分達の生活を教師が守ってくれないのですから。

 私が実践していきたいと意気込んでいた生徒達の自治能力、それを育てるための様々な行事の自主運営や、日常生活の自主管理。しかし、それらを実現させていくためには、生徒集団の秩序が保たれていることが大前提。そして、それを保つための教師の指導力と、教師の言葉を聞き入れる生徒集団にしておくこと。

 それは音楽の授業においても然り。授業として成立していない実態を数多く見聞きして、唖然とし、先ずは何としても、生徒達が音楽活動を状態にしなければと。それが、私の最大の課題でした。

 そのためには初めが肝心だ!と、キビシイ空気で授業をスタートするようになっていきました。“怖い先生”と見られるようになっても、仕方ないと思っていたのです。

 “秩序を保つためのビシッとした厳しさ” “心伸びやかに生きいきと” これを両輪にすること、このバランスを取ることがなかなかできず、その後も四苦八苦し続けました。